2011年にホームセンターで購入した折り畳み自転車。最初の1,2年乗っただけでほとんど放置してたので2年前にメンテナンスしてました。
久しぶりに乗ったら前輪ブレーキの効きが悪いのが気になりました。
20インチ小径車が関係してるか分かりませんが後輪のバンドブレーキと比較すると、とにかく効かないのでほとんど後輪ブレーキに頼ってる状態。
ブレーキについて調べていたらシティサイクルの前輪ブレーキは「シングルピボット」と「デュアルピボット」があるらしく、ロードバイクにも使われているデュアルピボットブレーキに交換すると効きが良くなるらしいのですが、とりあえずモノタロウの安いブレーキシューからブリヂストンのBAA対応ブレーキシューに交換してみました。
しかし、あまり変化なし。
なので、ブレーキキャリパーをシングルピボットデュアルピボットに交換することにしました。
交換するブレーキキャリパーはテクトロの900Aを選択。同じテクトロで800Aもありますが、当方の折り畳み自転車だとブレーキシューの位置がタイヤリムと合わないためです。
ブレーキキャリパー交換後、制動力も良くなったので交換作業について書いていきます。
作業日:2022/6
シングルピボットブレーキとデュアルピボットブレーキの違い
まずは、シティサイクルやロードバイクに使われているブレーキキャリパーにはシングルピボットとデュアルピボットがあるので、2つの違いについて調べたこと書きます。

シングルピボットブレーキはシティサイクルによく使われていて、デュアルピボットはロードバイクによく使われています。
デュアルピボットはダブルピボットとも呼ぶこともあるそうです。
ブレーキの構造からシングルピボットブレーキは軸が1軸なのに対して、デュアルピボットブレーキだと2軸になってます。
デュアルピボットのほうが軸からアームの長さが長いので、レバーを握ったときはてこの原理からブレーキの効きが強くなります。
ただ、デュアルピボットはシングルピボットと比べてレバーの遊びやワイヤー調整がシビアになるそうで、シューが摩耗してくるとこまめな調整が必要だそうです。
デュアルピボットとシングルピボットの違いについては以下のサイトが詳しく解説しており、参考になります。
>自転車の修理屋さん M’s Cycle: ダブルピボットキャリパーブレーキ (ms-cycle.com)
ブレーキ交換前に確認すること
車種によってリムのサイドとブレーキシューの位置が合わず使えないことがあるので、特に「アーチサイズ(ディメンション)」の長さを確認することが重要です。
アーチサイズ(ディメンション)の長さ
センターボルトからブレーキシューのリムに当たる距離。

標準装備のブレーキキャリパーでアーチサイズを確認。
ブレーキのセンターボルトからブレーキシューを固定してるナットまでの距離は約80mmでしょうか。とりあえずボルトの中心で測ってるので、ボルトの端と端だと数ミリ長くなりそうです。
アーチサイズは約80mmです。
センターボルト軸長

センターボルトの長さが短いと固定ができないので、こちらも長さを測ります。
ブレーキキャリパー―は前輪と後輪でボルト長が違うので、購入時は間違いないように注意です。前用ブレーキの方がボルトが長いです。
ボルト長をどこからどこまでか分からないですが、ボルトが出ている部分で約45mmでしょうか。スペーサーを外した状態だと50mmはありそうです。
センターボルトの長さも製品によって違います。
ロードバイク用のブレーキは、取り付け方法が少し異なるのでセンターボルトを入れるフォークのダボ穴のサイズの関係でシティサイクルの車種によっては固定できないかもしれません。
テクトロ900Aと800Aの違い
900Aも800Aもシティサイクル用のデュアルピボットのキャリパーブレーキです。
シティサイクル用のデュアルピボットブレーキを探してるとテクトロ900Aと800Aが出てきますが、2つの違いはディメンション(アーチサイズ)だけになります。
900A | 800A | |
---|---|---|
ディメンション | 72-92mm | 61-81mm |
センターボルト軸長 | 48mm | 48mm |
重量 | 200g | 200g |
800Aも900Aもロングアーチに分類されるようですが、その中でも900Aは超ロングアーチになるでしょうか。
アーチサイズが合わないとリムの当たり面にシューが合わないので要注意です。
先ほど確認した折り畳み自転車の場合、アーチサイズが約80mmなので900Aが合いそうです。800Aもギリ合いそうですが、測定誤差もあるので余裕を持った900Aが良いでしょう。
センターボルト軸長、長さが合いそうか合わないか分からないですが、アーチサイズが適合しそうな製品は900Aしか見当たらなかったので、これを買ってみます。
自転車のアーチサイズが72mmなら800A、80mmなら900Aを選ぶのが良いのではないでしょうか。
Amazonやモノタロウでテクトロ以外のシティサイクル用デュアルピボットブレーキを探しました、がアーチサイズが短かったり不明だったりでテクトロ900Aしか選択肢しかありませんでした。
ブレーキ交換

サイクルベースあさひのネット通販で注文。車体の色がグレーなのでメリハリ付けるためブレーキはシルバーにしました。
それと、900A付属のブレーキシューはトーインが付けられないようなので、シューがリムに線じゃなく面で接触させたいので、トーインを付けらるシマノのロードバイク用のブレーキシュー「R55C4」も一緒に買いました。

アウターケーブルとインナーケーブルも一新して交換します。
ルーラーのブレーキインナーケーブルは安かったのですがエンドキャップが付属してなかったので、幸い余のエンドキャップが有ったのでそれを使います。
10mmのメガネレンチを使用してブレーキキャリパーを外します。同時ににブレーキのケーブルも撤去。

ブレーキキャリパー外した時の逆順でテクトロ900Aを取り付け。

ブレーキキャリパー取り付けのとき泥除けがうまく装着できなかったので、ホイールを固定してるハブナットを緩めてから取り付けました。
スペーサーの取り付け順を間違えてるので、正しい取り付け順は後述しています。

14mmのスパナ(メガネレンチ)使用。

リムサイドとシューの位置は問題なさそうですね。シューを取り付ける前にリムのサイドは水に濡らした耐水ペーパーで少し研磨しました。
シューを取り付けて、ブレーキキャリパーの左右バランス調整は後でやります。
センターボルトのスペーサー取り付け順に注意
センターボルトには湾曲したスペーサーが2枚付いてますが、この2枚でフォークを挟むように入れます。


上記の取り付け順序は間違い。
Vブレーキシューの2枚のお椀型スペーサーと同じように取り付けると勘違いしてました。
フォークのダボ穴はフラットな面をしてないので、900A付属の2枚の椀型スペーサーでフォークを挟むように取り付けます。

椀曲したスペーサーはフォークに挟んで入れるためのようで、YouTubeや他のブログなどで確認したらこの位置が正しいもよう。
テクトロ900AにシマノR55C4は取り付けに注意
テクトロ900Aに付いてきたシューを外して、ロード用のシマノR55C4を取り付けようとしましたが、左側のシューがブレーキのアームに入りませんでした。

ブレーキキャリパー精度の問題かメッキ塗装の厚みの関係か、アームの穴とシューのボルトのサイズがピッタリです。
ボルト締めて無理やり装着しましたが、シューのボルトが最後まで入りきらない。ブレーキ中にシューが回転しそうで危ないです。
おまけに、シューがアームに食い込んでて外すのに苦労した。
せっかくロードバイク用のシューを買ったのに使わないのでは勿体ないので、ブレーキキャリパーのメッキの厚みが影響してそうな気もするので平型ヤスリで研磨します。

穴の内側をすべて研磨。右側は研磨しなくても大丈夫ですが、左右ともに研磨しました。
R55C4の台座を装着して、上下にも動くようになりました。
ワイヤー取り付け
アウターケーブルは交換前と同じ長さにカットしてます。
ブレーキキャリパーにシューをリムに当たる様に装着。最後に調整するのでまだ仮固定の段階。

この状態でワイヤーを取り付けるのですが、インナーワイヤーの両端にタイコ2つ付いてるのでロード用のタイコは使わないので切断。前輪同士なら1本で2台取り付け出来そうですが、ロードは持ってないのでタイコの根元からばっさりカット。
ワイヤーの遊びを調整するのにアジャストボルトの出し具合を調整。

手でブレーキシューをリムに当てながらワイヤーを軽く引っ張って固定。900Aはママチャリ標準ブレーキと同じ固定方法。
このままだとレバーに遊びがないのでアジャストボルトを締め付けてワイヤーの張りを緩くする。
今回、レバーの遊びを小さくしたいのでワイヤー固定で出したアジャストボルトは約2mm程。ブレーキシューシマノR55C4に合わせてます。
レバーの遊びを小さくするとレバーの握り始めから握力がいるので、後日ワイヤー調整してレバーの遊びを大きくしました。半分ほど握ってからブレーキが掛かるようにしましたが、以前より軽い力で握れるようになりました。前ブレーキ全開で前輪タイヤがロックすることも確認。
もしかしたら、ある程度レバーに遊びがあった方が軽い力でブレーキが握れるのかもしれないです。
ブレーキャリパーの左右バランス調整
固定してたセンターボルトのロックナットを少し緩めた状態にする。

片効きになってるのでブレーキャリパーのセンターボルトにスパナを使って左右に動かしつつ左右のシューとリムの隙間が丁度いい位置になったらスパナでブレーキキャリパーが左右に動かないように押さえつつセンターボルトのロックナットを締め付けて固定。

しかし、13mmスパナでブレーキャリパーが動かないように押さえてロックナットを締め付けてもブレーキャリパーも一緒に動く。
最後は、これ以上ロックナットを締め付けせずに13mmスパナで左右調整して終わり。

テクトロ900Aには左右調整するボルトも付いていますが、ここは触らない方が良いらしいです。
>自転車の修理屋さん M’s Cycle: ダブルピボットキャリパーブレーキ (ms-cycle.com)
デュアルピボットブレーキの説明が詳しいと紹介した同じブログ。調整ネジについて内容の後半に書いてます。
そもそも、この調整ネジはネジロックが塗られていて、下手に触って調整するとネジが動いて緩みやすくなるから回さない方がいいとのこと。
ブレーキャリパーの左右バランス調整が終わったら、ブレーキシューのトーインを付け直すためにシューの固定を緩めて再度取り付けた。
よくブレーキ鳴り改善でシューをハの字にする方法がありますが、シューがリムに当たる面を大きくしたいので今回はしていません。
交換したブレーキで制動力を確認
交換前と交換後に近所で走り前輪のみでブレーキを掛けて効きを確認しました。
時速18kmぐらいから同じ場所で前輪のみでフルブレーキ、ブレーキシューもいくつかあるので、シューによる違いも気になって試しました。
あくまで、交換前のブレーキからどれぐらい効きが違うんだろうと確認してるだけなので参考程度です。

左上から右に
- ブリヂストン(ヨシガイ製、BAA対応)
- テクトロ900A付属
- シマノR55C4(BR-R7000 105)
- モノタロウ(進行方向の指定なし)
シマノのシューだけトーインが付けれます。
制動力は、ブレーキをかけてから柵の柱の何本目で停車したか簡易的に確認してます。柱の間隔は2mです。
柱を4本と半分で停車したら「4.5」…とかそんな感じです。小数点以下は、大体これぐらいかな?と適当です。

写真の位置だと柱3.2本ぐらい。
標準ブレーキ | TEKTRO 900A | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ブリヂストン(ヨシガイ製、BAA対応) | 4.7 | 4.0 | 4.1 | 4.1 | 3.6 | 3.2 | 3.9 | 3.5 |
モノタロウ(進行方向無し) | 4.5 | 3.5 | 4.0 | 5.0 | 3.5 | 4.0 | 3.5 | 3.2 |
テクトロ900A付属 | 4.3 | 4.1 | 5.0 | 3.8 | 3.1 | 3.0 | 3.1 | 3.7 |
シマノ R55C4(BR-R7000) | 4.7 | 5.0 | 3.2 | 3.7 | 3.2 | 3.5 | 2.8 | 3.0 |
テクトロ900Aのブレーキレバーの遊びについて、シマノR55C4を基準として
- モノタロウ、テクトロ900A = 大きい
- ブリヂストン = 小さい
ブリヂストンのシューは厚みがあるのでレバーの遊びに余裕がないです。
時速18kmからの前輪フルブレーキで4回テスト。検証した日はブレ―キャリパー交換前と交換後で別の日ですが、それぞれシューの検証は同じ日に行ってます。
簡易的な方法で行ってるので、大雑把に効きの違いがどんな感じか確認してるだけです。
結果は、シューによる制動距離の違いは分かりませんでしたが、ブレーキキャリパーによる制動距離の違いは感じられるほど差がありました。
デュアルピボットの900Aの方が短く止まれます。
ブレーキシューによる制動距離の違いは分かりませんでしたが、20インチHEリムの折り畳み自転車はリムのサイドに角度が付いてるようなので、トーインが付けられるロード用のシューは面全体でリムに当たってる感じです。

それ以外のシューは線のように当たっています。
シューによる制動力の違いは感じられませんでしたが、ロード用シューの方が偏りなく当たってるので、これから摩耗してくること考えるとトーイン付けられるロード用の方が良さそうです。気持ち的に。
制動力に関してはブレーキキャリパー交換が一番大きく違いが感じられました。
105のロード用ブレーキシュー